2012年3月29日木曜日

ふきのとう

あちこちからふきのとう(「蕗の薹」よりもひらがなが似合う)が吹き出してる。写真のはもう随分、薹が立っているが、先週末に摘んだのは良い具合でさっそく味噌汁にしてみた。近所の人たちも土手を見つけては摘んでらっしゃる。このあたりでは味噌と合わせた「ふきのとう味噌」というのをこの時期どこの家庭でも作るそうで、毎年ご近所さんが届けて下さる。近くの小さな仕出し屋や八百屋でも「ふきのとう味噌あります」という手描きの短冊が軒に下がったりして、季節の風物詩なのかもしれない。
先日の味噌汁では籐が立ったものも刻んでみたがさすがにアクが強くて苦くて喰えたもんじゃなかった。あ、そういえば妙齢の女性を「籐が立った‥」というような表現があるが、まあ、そういう意味なんでしょうね

2012年3月20日火曜日

伝声管

 我が家には伝声管がある。すなわちインターホン。あるべきところとすれば潜水艦か。連合設計市谷建築事務所と共同で開発した住宅用で、室内・室外部分のユニットと管を組み合わせることによって柔軟な設計ができる、というもの。ユニットはアルミの鋳造なので、アルマイト処理や各種塗装、もちろん漆もオッケー。管の部分はアルミでも塩ビでも紙管でもとにかくまっすぐなものなら何でもいい(伝わる音質は変わると思うが)ので、住宅の雰囲気に合わせることができる。

設置が終わってから気づいたこと、そう、「管」なのでここから虫やネズミが出入りできてしまうのだ。ふさいでしまうと「伝声」できないので、内部になにがしかのネット状の虫除けが必要となる。ユニットと管の接合部でガーゼを挟んで対応しているが、もっと積極的にプロテクトしつつ、逆にそれをデザインの一部としてしまおう、ということで、粗めの不織布のような柄のエッチング板(真鍮の板の一部を腐食させたもの)を作って朱漆塗りとした。声の出入口、まさに「口」のイメージで。

さて、その「伝声」具合だが、室内のユニットのまさにそこに小さな人が立って話しているようなとてもクリアで瑞々しい音質なのだ。電気式のインターホンとは全く違う、リアルな波動としての声が聞こえるのだ。そしてそれはとても楽しい体験で、近所の子供がイタズラしたくなるのもよく分かる。

難点は初めての人にはそれがなにか分からないということ。ここからお話しください、みたいな張り紙もしたくないし。宅配の人も最初は分からなかったけど、もうすっかり楽しみにしてる人もいて、まあとにかく伝声管があるおかげでコミュニケーションがとても促進されて楽しいのです。


 


2012年3月5日月曜日

炭焼き

 近所のおっちゃんが炭焼きをするのでお手伝いに。これは松炭になるそうで、なんでも刀鍛冶が好んで使うものらしい。

 土で作った窯にぎっしりと松材を詰め込んでいく。ほんとに隙間無くびっしりと60センチほどの長さの松材を縦に並べていく。土台として地面には「敷き木」といって細めの生木をランダムに敷き詰めていく。ほどよく空気の通り道となって隅々まで炭化が進むのだそうだ。

炭焼きは火力調整が重要なポイントで煙道の出口と空気穴で調整する。二日間ほど焼いて数日冷まして取り出すまで1週間弱の工程。ほとんどが松炭だけど、少量ながら他の炭材もあって、藤の木の炭は火にくべた時に爆(は)ぜないので、昔は着物を着て炭を扱う芸者衆に喜ばれたのだとか。一服、いかがです?と煙管を差し出す芸者の姿を目に浮かべながら、えっちらおっちら材木運びの休日。