2012年8月31日金曜日

庭の小宇宙

 夫婦揃って展覧会前で毎日毎日座りっぱなしで足はむくみ、寝起きは悪く、肩こりで頭痛までする始末。とにかく運動不足解消ということでラジオ体操をやってみることに。ラジオ体操とは言え、今はYouTube体操?第一、第二ともに音楽やリズムが微妙に違うバージョンがあって、でも子供の頃のあの夏の朝の空気感がきっちり蘇ってきてとても新鮮。で、ちゃんとやってみるとこれが結構しっかりした運動であることに気づく。腕を左右に大きく振る運動♪などは、子供の頃はリズムに合わせて難なくできたことが、今やろうとするとかなりの速度でブンブン振り回さないと音楽に追いつかないのだ。第二も中盤にさしかかってくると体も温まってきて、最後の深呼吸ではほんとにクールダウンでとてもすがすがしい。まあなんと言ってもせせらぎの側なのでそもそも朝の外の空気は気持ちいいことこの上ないのだが。
 で、その体操の途中で大きく上体を反らせた時に目に飛び込んできたのが大きな蜘蛛の巣。この時期、放っておくと建物の角という角があっという間に蜘蛛の巣だらけになって、届く範囲でせっせと処理(?)しているのだが、この時見つけたのは渡り廊下の窓からでも届かない軒裏。どうしたものかと、一瞬考えた後に、前日に間伐(?)したアオハダの小木があるのを思い出した。うまい具合にちょうど届く長さで、先にはまだ青々と葉が残っていたので、なんとも完全な「道具」と化した。こういうのをブリコラージュとでも言うのか、野生の知性とでも言うのか、まあ、とてもうまくいって笑ってしまった。
建物に作られるのはやっかいなれど、自然の中に見る蜘蛛の巣は本当に美しくて、これをアクリル板に貼り付けて撮影してコレクションしている人が居る、というのも頷ける。でもやっぱり自然の姿のままがとてもとても美しい。木の洞にできた直径1センチくらいの蜘蛛の巣の群れはまるで小さな銀河のようだった。

2012年8月23日木曜日

カビないザル

 窓辺に干していたザル。最近、こんな作品を作っていることもあって、影が気になる。ザルはとても便利な道具だが、湿気を帯びやすくウチのような湿気の多いところでは気がつくとカビが生えていたりするので要注意だ。そこで、試しに古いザルに拭き漆をしてみた(左の色の濃い方)。もうかれこれ1年近くになるが、漆の効果か、カビることなく、さらにややヤレていたのがしっかりとして使い勝手が良くなった。風呂場で使っているスノコ(¥1,500@ホームセンター、檜製)にも拭き漆をしてあるのだが、こちらも水垢に悩まされることも、カビることもなく、ほったらかしで使っているが毎晩とても足触り、尻触り(?)が良く気持ちがいい。漆はその品格や技術の精緻さなどまさに表面的な部分で評価されることが多いが、こうした生活を清潔に保つ効果という機能的な面でもっと訴求できると思う。
生漆を灯油やテレピン油(油絵の具の希釈用でいい)で希釈したものを木地にハケで塗って染み込み具合を見ながらウエスでしっかりと拭き取れば、一回目の行程は終了。あとは同じことを繰り返すだけ。2回、3回と重ねてゆくとだんだんとしっとりとした艶が出てくる。一方で色味はどんどん濃くなるので、好みで回数を調整する。ちなみにこのザルで3回塗りです。建材を塗っているのは同僚のK先生。こちらもホームセンターで買ってきた床板を拭き漆仕上げにして、子供部屋の床に。近頃は産地がネット販売をしているので本格的な漆が手に入りやすくなっているので興味のある方はお試しあれ。




2012年8月16日木曜日

懐かしさ

 我が家の麓の根白石地区はかむりの里(神様が降りたところで「神降」、あるいは馬から落ち神様が冠を落とした川「冠川」などの神話由来の地名)と呼ばれ、江戸時代には伊達政宗公の実祖母である栽松院が住み、没後、白石城内に墓を建てたことから、政宗公もよく根白石を訪れていたという由緒正しいところで、旧街道沿いのお寺や大きな造り酒屋など古い木造の建物も多くなかなか風情のある村だ。なかでも仙台に残る唯一の木造校舎の根白石小学校は築82年を誇り、学舎(まなびや)としての威風を感じさせる。今時の町中の小学校のような部外者に対して極めて排他的な雰囲気とは正反対で、広々とした校庭は、隣の老人センターや田畑と緩やかに繋がり広がり、地域をあげて子供を守り育てるという安心感が漂っていて、不思議な居心地の良さを感じた。こうした昔ながらの寛容な雰囲気はとても大切だと思う。総じてこの集落は「懐かしさ」に満ちていた。

夕暮れに散策した昨日はちょうどお盆でお寺で盆踊りで賑わい、家玄関先で送り火を焚く家も多く、いつになく人気のある根白石でした。