2013年3月31日日曜日

春近からじ?

 去年のちょうど今頃の投稿を見ると、蕗の薹の話題だ。雪が多く寒かった印象の今年も同じようにあちこちから蕗の薹が顔を出しているが、むしろ、去年より薹(とう)が立っているくらいだ。急に暖かくなったせいか、冬を越したクロッカスも慌てたように咲き出した。慌てたせい(?)か、花の位置が地面に近いような?。。今回の発見はドングリ。あの固い殻をそっくり脱ぎ捨てて、先端からまずは地中に根を伸ばし、このあと、種子の中央から2つにパカッと開いて天に向かって伸びてゆくのだそうだ。ドングリはそのものが種子で地中に埋まって発芽するものとばかり思っていたので、これは驚きだった。ドングリと一口にいっても、その親はクヌギもあれば樫や楢もあって、これは一体なんなのか判明するまでは数年かかるが、いずれにしろ「ドングリ」とは、ブナ科の果実の総称らしい。ともあれ、この瑞々しい色彩といかにも若々しい肌合いが春をググッと引き寄せる力強さに満ちている。。。と思っていたら、今日は雪が降った。三寒四温の「寒」がキツい仙台なのです。

2013年3月16日土曜日

天然版杉本博司

ここ数日で一気に気温が上がりだした。今日は日中12度もあり、さすがの我が家の「秘境」も最期の時を迎えようとしていた。ここは毎年豪快なつららが見られるところで、一番寒い時期にはせり出した岩の先端から川面までの約3mを縦に繋ぐ氷柱が出来るほどだ。このあたりの岩は花崗岩が風化した?ような質感で、表面から鱗状にボソボソと剥がれてゆく。雪解けによって年々表面が削り取られていっており、今年は氷柱の付け根から一気に崩れ落ちたようで、直後だったらしく、割れた断面がくっきりとまるでガラスの塊のようだ。つい先日杉本博司の展示を見てきたが、ひょっとすると、ガラスの作品もこうした天然の造形が原風景なのかも知れない、と思わせるようなどこかしら神秘的な佇まいだった。春が来た。

2013年3月11日月曜日

舟大工vs.家大工

 「うぶすなの家」に行ってきた。2004年の新潟県中越沖地震と豪雪で打撃を受けた民家に活力を呼び戻そうと、「大地の芸術祭2006」で「やきもの」をテーマに再生されたそうだ。1924年(大正13年)築の茅葺屋根の古民家。筑波大学安藤邦廣教授の再生計画によるもの。地震でやや傾いたものの、躯体はしっかりしており、一部に木構造を挿入してレストランや美術館として機能している。圧巻はなんといっても越後の積雪に耐えた根曲がり材の梁だ。どう見ても図面が存在しそうにない、再現不能な、でも釘を使っていないから移築の可能性を内包する、すばらしく精緻で、それでいて力強い造形だ。通り芯程度の図面(と呼ぶほどのものさえ無いのかもしれないが)さえあるのだろうか?各部屋の配置と大きさ程度が決まればあとは大工が材料をにらみつつ、適当(もちろん”いいかげん”という意味では無く)に材料を配置していってできあがった、ある種の即興的なスピード感と精度を感じる。以前に木造和舟の復元制作をやったことがあるが、その時見学に行った船大工のおじいさんの手際もまさにそういう即興的なもので、帰ってから見たままにやってみたところ、材料どうしが全然合わず、あらためて手に具わった技術の凄さを痛感したものだが、この家の大工さんの技もそうしたものの一つだろう。ほとんど曲線ばかりで高度な技術が必要な舟大工の方が家大工よりも格が上だという話を聞いたことがあるが、なかなかどうして、まさに舟のミヨシ(舳先のことミ:水押し)のようななんと呼んでいいのか分からない部材は迫力満点でした。