2014年2月28日金曜日

大きな一歩

いよいよウルシを植える準備も佳境に入ってきた。ウルシ植樹の前回の投稿(「ないものはつくる」)を振り返ってみると11月とはいえ、まだ周囲の山々には緑も見えるが、あれ以来ひたすら雑木の伐採と地拵えの日々を経て、下穴を掘るところまできた。直径1メートル、深さ50cmくらいの穴を重機(といってもとても小さくて一家に一台な感じ)で掘って、そこに堆肥と石灰、油かすを混ぜ込んで埋め戻す。最後に堆肥をかけて準備完了。植樹の当日は3年目の苗木を一本ずつ植えていく。すでに十分土は柔らかくなっているので、簡単な作業ではあるものの、なんといっても100本近く植えるので当日は結構大変なことになりそうだ。人手も必要なのでボランティアを募集したところ、あっという間に定員に達して総勢50名で作業することに。当日は東京からはるばる来てくれる人たちも嬉しいかぎりだが、なんといっても地元宮城の人がたくさん参加して下さるのが嬉しいというか心強い。ここにしっかりウルシが根付いて地域の人たちの何らかの支えとなるまで、長い道のりだが、まずは一歩を踏み出さないとそこに道はできないのだ。


2014年2月9日日曜日

もったいなくて歩けない

東京では27cmも積もり、仙台でも何十年かぶりの大雪とかで市内では35cmも積もった朝。すっかり雪に埋もれた清川は見渡す限りの雪見だいふく状態。一晩に一気に降り積もらないとこのカタチにはならない。家の前もすっかり埋もれていて、でも、もったいなくて歩けないくらい綺麗だったので雪かきは夕方に持ち越し。近所のワンコは童謡どおりのはしゃぎぶり。




2014年2月3日月曜日

こちらも10年後が楽しみ

 アクアマリンふくしまに行ってきた。福島の里山の環境を丸ごと再現した展示室や生き物の生死のありのままを見せる工夫など、単なる水族館というよりは、環境科学館といった趣だ。今日の目的は水族館ではなく、新しく整備中の施設へのエントランスとなる「葛(くず)のトンネル」の制作ワークショップにやってきた。東京藝術大学建築科金田充弘研究室と日本設計のプロジェクトで、まずは竹でシェルター状の「棚」を作り周囲に葛を植え、いずれは葛がこのシェルターに蔓を這わせ、木化する頃には竹の棚は朽ちて、このフォルムが葛で置き換わる、というコンセプト。本当の完成は数年後ということだ。
 建築家のスケッチを精密にデジタル化して、各部材の長さや角度、数量や施工の順序といったものを予めはじき出しておいて、現場で人力で竹を組み立ててゆく、というプロセス。デジタルで精度を上げてあっても、そこは材料が竹ということで、そもそも太さもバラバラ、真っ直ぐでもなし、割り竹の幅もマチマチなのは当然で、そこを現場合わせしていく工夫がおもしろいところ。図面では問題なくても現場では辻褄の合わないこともあり、そこは当然現場合わせを優先、いきなり現場で「カッコ良く」設計変更する場面も。。というとデジタルの恩恵はなさそうなものだが、そもそもデジタル化することによって部材の総量や相互の関係、それらによって構成される全体像の把握が可能になっている。作業を始める前段階を整える意味においてデジタルは不可欠なプロセスなのだ。つまりこれがないと始まらないのだ。
 デジタルとアナログのこうした不可分な関係は当たり前のものなのだが、アナログ作業を体験しないことには意外とこの事実には気がつかない、ということを最近の学生を見ていると感じる。フルスケールでモノを作ることは建築の学生だけではなく、どんなデザイン分野にも必要な体験なのだ、当たり前すぎるけど。
 手前味噌だが、南三陸町でいよいよウルシを植える準備も整いつつあり、こちらも本当の成果を得るまでには10年以上を要する。なんだか、長いスパンで楽しみなことが増えてきた。2月22日からオープンです、みなさま是非。