2014年7月30日水曜日

和紙に(宮城の)未来の工芸を見た

 学生10名ほどを引率して手漉き和紙体験をしてきた。宮城県にはいくつか和紙の産地があり、慶長年間に伊達政宗が産業振興のために福島から呼び寄せた職人が源流となる柳生(やなぎう)和紙は、楮とトロロアオイから作られ、非常に丈夫なことが特徴だ。今回お邪魔した「潮紙」はこの柳生和紙をルーツに持つ。和紙の世界もご多分に漏れず、一子相伝で継承してきた技術が職人の高齢化と後継者不足で風前の灯状態で、この「潮紙」はその灯をなんとか生きながらえさせようと、新たな取り組みとして今春、川崎町に立ち上がったばかりの工房だ。学生には訪問前に、職人の仕事場は聖域である、心して臨むべし、と職人さんと向き合う心構えを喚起しておいたのだが、拍子抜けするほど親切で細やかな心配りをして下さる職人さんで、とにかく和紙に対する熱い想いがほとばしるように言葉となって紡ぎ出されて、その熱意に圧倒されてしまった。もちろん楮やトロロアオイはご自身で栽培されているこの50代半ばの職人さんは、「維持するためには進化すべし」という伝統の本質を了解されている方で、非常に熱心な新しい取り組みへの想いもお聞きすることができた。普段、お付き合いのある漆の若い職人さんレーザーカッターを使った取り組みに積極的だったり、一般向けの漆ワークショップを自身で企画したりと、宮城県には自分たち自身で変わろうとすることに本気で積極的な職人さんが居ることは将来の大きな資産だと思う。ていうか、宮城県はこれから新しい工芸のモデルに十分になり得ると思う。人材だけでなく、素材を育む豊かな大地という最強の資源を持っているのだから。


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