2012年10月8日月曜日

奇岩とおはぎ


 彼岸過ぎというのにあちらこちらで彼岸花が鮮やかだ。以前から気になっていたおはぎを手に入れがてら、早起きして秋保の朝風呂へ。町内のおじさんたちで運営している小さな共同浴場で、四人も入れば一杯の湯船ながら、常連と覚しきおじさんたちが朝の静かな時間を過ごしていた。思っていたより近くて車で35分、これなら他の温泉も気軽に楽しめそうだ。
 車を止めたその先の「磊々峡(らいらいきょう)」という看板に誘われて遊歩道を行くとなんとも豪快な渓谷に出た。「磊」とは石が多く積み重なっている、という意味の文字(猛烈にそのままだ)で、まさに巨石が層となって積み重なっているような表情を見せていた。実際には名取川が大地を侵食してできたそうで、ここからとれる凝灰岩は秋保石と呼ばれ、広く建築材として用いられたそうだ。耐久性や耐火性、防水性に優れ、軽量であることなど、優れた特長を持つことから、特に大正末期から昭和初期にかけて盛んに使われたらしく、当時は搬出用にトロッコも走っていたようだ。を、凝灰岩といえばこないだ行ったマテーラの洞窟住居と同じ岩だ。ここの人は住みかにはしなかったのね。
 水はとても透明で途中の時雨滝は奇岩の迫力とは対照的にとても繊細で美しく静かな佇まいだった。中国人向けの案内か、「瀑布」という文字が似つかわしくなかった。さて、件のおはぎはというと、これを求めに来た人たちの大混雑に驚きながらもなんとかゲットしてついでにずんだ餡も。甘みもあっさり、ボリュームの割には食べやすかった。道中は金木犀の香り、ススキはなびき、稲刈りの終わった田んぼにはイナグイ(稲を干すための棚)が並ぶ。もう秋だ。





0 件のコメント:

コメントを投稿