2014年3月10日月曜日

ながしず漆植樹際

 日本はその昔、漆の国と言われましたが、今では国産漆は生産量が激減しています。国産漆は良質な漆として知られており、光沢に優れ、硬化した塗膜はとても堅牢・強靱(きょうじん)で、宮城県では瑞鳳殿や大崎八幡宮などに使われてきました。こうした文化財の修復には国産漆が使われます。しかし、国産漆の減少と価格の高騰がこのまま続けば、文化財の保存もままならなくなるでしょう。
 この度、「宮城県みんなの森づくりプロジェクト」では東日本大震災で被災して耕作放棄された海岸沿いの平野部にウルシ(樹木としての漆はウルシと書きます)を植えることになりました。平野部で管理育成することで、山間部に比べて労力の削減と健全で効率的な栽培が可能です。植栽から漆採取までは15-20年を要しますが、今この問題に向き合わないと、漆の文化そのものを失ってしまいます。漆は天然の抗菌作用があり、一般的にはあまり知られていない食品、蝋燭、染料などとしての多様な可能性のほか、現代生活でも十分に利活用できる衛生的で高機能な天然素材です。循環型の資源としてウルシ栽培を通して被災地に将来的な雇用を生み出すことで、漆産業の発展と伝統文化を守ることにつながります。
 3月9日日曜日に南三陸町長清水(ながしず)地区にてウルシの植樹を行いました。宮城の方のみならず東京や京都からもご参加頂き、60余名のみなさんで100本を植えました。当日は晴天に恵まれ幸先の良い一日でした。これから息の長い取り組みになりますが、地域に根ざした活動になるように様々な企画を準備しています。みなさんも是非一度お運び下さい。





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