2014年8月29日金曜日

お子さんですか?

朝から仕事場の目の前のアオハダで野鳥が3羽、ヒーヨヒーヨと騒がしい。ヒヨドリだ。いつもは結構警戒心が強く、窓越しでもこちらが少しでも動けばすぐに飛んでいってしまうのに、今日はなぜか3羽もいて、しかもこちらが少々動こうがお構いなしにアオハダの実をついばんでいる。ならばと、すぐに撮影が出来るようにと三脚をセットしてさて仕事。。と思ったらずっとそこに居るのでひとしきりバードウォッチング。良く見てみると一羽は成鳥のようだが、大きさは変わらないものの、残りの2羽はどうもまだ子供のようだ。ヒナというよりは大きいが、成鳥の頭部のように冠羽になってないところを見るとどうもまだ巣立って間もないようだ。自分で実をついばみつつも、時折エサをねだるような仕草も見せる。かわいいもんだ。かわいいけど、あんまりアオハダ食べんといてや、正月飾りがなくなってしまう。




2014年8月28日木曜日

我が家の刺客達?

 夏はヤマユリが美しい一方で山の暮らしは危険で一杯だ。マムシにスズメバチ、毒持ちのヒキガエル…こちらからちょっかい掛けなければいずれもおとなしいものだが、たとえば気付かずに蛇を踏んづけてしまうことも考えられる訳で、真夏でも外出時に長靴は必須だ。スズメバチも8,9月の気が立っている時期でも攻撃したり興奮させたりしなければ襲われない(らしい)。ただ、黒くて動くものには反応してくるので、服装は明るい色を着るべし。カエルは体表に毒があるので素手で触るな。などなど、教えはたくさんあって気が抜けない、なんせ、こんな距離感でアオダイショウが日向ぼっこしてるのだから。




2014年8月26日火曜日

期待を裏切らない


 TOPEAKという自転車用アクセサリーメーカーがある。携帯用工具や空気入れ、サドルバッグなどそれなりに乗るには色々とアクセサリーが必要なのだが、バイクメーカーがOEMで「それなり」品質で作っているものが多く、しっかりした耐久性とアイデアの効いた使い心地のバランスの良い物が意外と少ない。そんな中、TOPEAKは値段はちょっと高いものの、価格に見合う性能の気の利いた製品が多い。
 runtasticという、たった¥500で手に入るようなiPhoneのサイクルコンピュータアプリが、これまで大枚はたいて買ってたサイコンはなんだったの?というくらい高性能で、これならと、iPhoneのバイクマウントを物色していたらTOPEAKのRideCaseを見つけた。ステムのボルトを利用するというスマートなアイデアで、マウント自体が「消えている」とても優れたデザインだ。実際やるかやらないかは別として、マウントが起き上がって、さらに90度回転するので動画撮影もバッチリだ。iPhoneを専用のアウターケースに入れたらあとはマウントにスライドさせて固定する。固定はもちろんワンタッチで、取り外しもストレスなく、取り外したら普通にiPhoneケースとして使ってもかさばらない。reddot design award獲得も納得だ。実際の使い心地はまた後日。


2014年7月31日木曜日

新境地

 「マテリアライジング展Ⅱ」が始まっている。昨年に続き、「情報と物資とそのあいだ」について様々な専門家が考察を巡らせる展覧会で、今年はさらに実験的な取り組みがキュレーションのテーマだ。今回は東北芸術工科大学プロダクトデザイン学科講師の酒井聡さんとの共同制作だ。作品全体を通して宮城県南三陸町の豊かな自然の息吹を伝える「Tele-Flow」という作品を展示している。作品はウルシ樹の生体電位を利用して、宮城県南三陸町ながしず地区に植樹されたウルシをデジタルに移植するという、いわば空間転送の試みで、造形は、ウルシの実木から3Dスキャン・3Dプリントした透明オブジェクトと、葉を模した漆フィルムで構成される。6個のマイクロモーターが実装された葉柄は、植樹地からの信号によってかすかに振動し、南三陸町の豊かな自然の息吹を伝える。数匹のホタルが徐々にその明滅を同期させていくような、自然界には不思議が同期現象が存在するが、これを数理モデル化したことで有名な「蔵本モデル」を応用して、6個のモーターの動きを制御して全体として風になびくような木の動きを作り出している。また、今回は酒井さんのご縁で株式会社JVCケンウッドにもご協力頂き、Forest-Notesのシステムを使って現場の音をリアルタイムに配信している。
 今回の作品がこれまでとは全く異なるのは、「漆の啓発」というハッキリとした目的を持っていることだ。作品は啓発のためのメディアであり、作品そのものにはほとんど意味はない。作品を介することにより喚起される漆をめぐるコミュニケーションこそが目的なのだ。もはや従来的な意味での「作品」という言葉も当てはまらないのかもしれない。これまでの僕の漆の造形作品は、作品そのものにこそ意味があったという点では、別人の作品と言っても良いかもしれない。確かに今回は酒井さんのみならず、プログラマーやマネージャーとのチームワークで、プロデュースとディレクションを担当したという意味では「別人」なのかも知れない。確かなことは、このやり方にとても意義が感じられたということだ。
 この作品を通して、日本の漆の危機的な現状(国産は1%、99%は中国からの輸入)に想いを馳せてもらえればと思う。
http://materializing.org/2014exhibitor/1663

動画はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=11qJadpnHzw&feature=youtu.be

撮影:酒井聡

2014年7月30日水曜日

和紙に(宮城の)未来の工芸を見た

 学生10名ほどを引率して手漉き和紙体験をしてきた。宮城県にはいくつか和紙の産地があり、慶長年間に伊達政宗が産業振興のために福島から呼び寄せた職人が源流となる柳生(やなぎう)和紙は、楮とトロロアオイから作られ、非常に丈夫なことが特徴だ。今回お邪魔した「潮紙」はこの柳生和紙をルーツに持つ。和紙の世界もご多分に漏れず、一子相伝で継承してきた技術が職人の高齢化と後継者不足で風前の灯状態で、この「潮紙」はその灯をなんとか生きながらえさせようと、新たな取り組みとして今春、川崎町に立ち上がったばかりの工房だ。学生には訪問前に、職人の仕事場は聖域である、心して臨むべし、と職人さんと向き合う心構えを喚起しておいたのだが、拍子抜けするほど親切で細やかな心配りをして下さる職人さんで、とにかく和紙に対する熱い想いがほとばしるように言葉となって紡ぎ出されて、その熱意に圧倒されてしまった。もちろん楮やトロロアオイはご自身で栽培されているこの50代半ばの職人さんは、「維持するためには進化すべし」という伝統の本質を了解されている方で、非常に熱心な新しい取り組みへの想いもお聞きすることができた。普段、お付き合いのある漆の若い職人さんレーザーカッターを使った取り組みに積極的だったり、一般向けの漆ワークショップを自身で企画したりと、宮城県には自分たち自身で変わろうとすることに本気で積極的な職人さんが居ることは将来の大きな資産だと思う。ていうか、宮城県はこれから新しい工芸のモデルに十分になり得ると思う。人材だけでなく、素材を育む豊かな大地という最強の資源を持っているのだから。


2014年7月29日火曜日

バルセロナに行ってきた その1


バルセロナに行ってきた。東北の伝統工芸と新しいデザインの取り組みを紹介する展覧会に出品している関係で招待して頂いた。同時期に開催されていたFab10関連のイベントでもレクチャーやワークショップを依頼され、超過密スケジュールの中、バルセロナの土着のクラフトの工房をあちこち案内してもらえたのは収穫だった。バルセロナから北東へ車で1.5時間ほどにある、観光都市としても有名な漁師町Estartitでは、漁の仕掛けや籐籠を作る工房にお邪魔した。工房の主が紹介してくれる美し仕事もさることながら、撲はこの道具がとても気になり、たまらず尋ねたところ、「ペラカニャス」という竹の節を取り除く道具なのだという。今はあまり使ってないが、といいつつ実演してもらった。ちなみに「ペラ」とは「剥く」、「カニャ」は「葦」を意味するので、そのまま組み合わせると「葦剥き機」となるが、転じてカタラン語では新人を意味するそうな。日本語ならさしずめ「青二才」といったところか。ひと皮剥いてこい、みたいな感じで使われるのだろうか。


2014年6月28日土曜日

SFが実現する?

 遠隔転送装置、SFの中でのお話と思いがちだが、あながちそうでもなさそうだ。事実、そういう独立した装置が存在しているわけではないが、現代の技術の組み合わせによっては実質的に実現するのかもしれない。

 7月中旬に迫った展覧会にむけて新作を制作中だ。「Tele-Flow」と名付けた作品は、ウルシの樹の生体電位を利用して、宮城県南三陸町ながしず地区に植樹されたウルシをデジタルに移植する試みだ。造形は、ウルシの実木から3Dスキャン・3Dプリントした透明オブジェクトと、葉を模した漆フィルムで構成される。マイクロモーターが実装された葉柄は、植樹地からの信号によってかすかに振動し、葉のゆらぎを表現する。音響メーカーにも協力してもらって、現場の風や鳥のさえずり、木のざわめきといった環境音も含めて、南三陸町の豊かな自然の息吹を会場に伝える。

 この構成はすでに単なる物質の転送というレベルを超えて現場の空気感、つまり「空間」そのものを転送しようとしている、ということに、作りながら気付いた。今回は漆、感性表現の研究者、SE、グラフィックデザイン、空間情報学、ヒューマンコンピュータインタラクションといった専門家と学生のグループで取り組んでいる。「デジタルに移植する」というコンセプトに添ってディスカッションを重ねてゆくなかで、自然と必要な技術が選択されて、気がついたらこの構成になっていた。マイクロモーターに先だってバイオメタル(人工筋繊維)を試してみたり、通信の安定にUSBとLANの規格を検討したりと、目的に向けて最適な組み合わせを選択出来るほどに、現代は技術が潤沢に提供されている。なにか特別な単一の飛び抜けた技術というよりも、多様で単純な異なる技術のマッシュアップが現代の様々な新しい仕組みを作っている、ということをとても実感している。

 ながしずでは風が吹き渡り、木々がゆらめき、雨は川となって海に注ぐ。そんなゆったりとした遠くの時の流れを今ここに伝える、から「Tele-Flow」 7月19日から東京藝術大学美術館陳列館にて。是非お運び下さい。
http://materializing.org/