2012年10月30日火曜日

トンガリ屋根のアルベロベッロ

 アルベロベッロへ行ってきた。イタリアは南部プーリア州、「長靴」で言えばヒールの付け根あたりの小さな町だ。「美しい樹」という意味のその町は世界遺産に登録されている。トルッロと呼ばれる、石灰岩を円錐形に積み上げた住居の群れがまるでおとぎ話のように広がる街だ。なんでもその昔、住居の個数でその地域の税金が決まったそうで、奸智の利く(セコい?)領主が、王様が視察に来る前にガラガラと屋根を壊して「これは住居ではない」と言い張るために簡単に壊せる構造にしたのだとか。たしかに内側には簡単に壊れそうだけど、節税のメリットに見合わないくらい直すのが手間なのでは?という疑問は残りつつも、その佇まいはひどく可愛いらしすぎず、さりとて、石造りのゴツさもなく、いい案配なのだ。一部は住民の生活エリアとして今も普通にフツーの人達が暮らしている一方、一部は宿としてフツーに泊まれるのだ。宿と言うより貸し切りペンションのような感じ。鍵を預かってあとは自由なので、まるでアルベロベッロの我が家!ゆっくり滞在するにはとても良かった。
この地域は肥沃な赤土の下には石灰岩が埋まっていて建築資材には事欠かない。この赤土では美味しいオリーブが育つようで、イタリアの最高級オリーブオイルはこのあたりが産地だとか。日本にはスペイン産が多く、あまり知られてないんだとか。ワインも絶品だったりとかで、ヨーロッパでも人気のリゾートになりつつあるそうだ。でも観光地丸出しの物欲しそうな雰囲気はまるで無く、世界遺産とはいえ、比較的静かに過ごせました。暮れなずむ街の景色もまたスバらしいものでした。



2012年10月29日月曜日

イタリアのフォトジェニックなクルマたち

今回は南イタリアの街角で見かけたクルマたち。まずはアルベロベッロのチンクエから。色的には完全にカリオストロの城バージョン、ルパンならぬ、見た目このクルマの半分くらいのおっきなおじさんが降りてきたのにはびっくり。
フレンチの足の長さを活かして(?)駐車してあったキャトゥル。コンディションは抜群によかった。でもしっかり実用に供されているようでした。
 マテーラの小さなスペースに収まったスマート。ややお国柄が違うようで苦笑い?でもここでは大活躍だろう。
 日本では滅多に見ない(仙台某所ではほぼ毎日見るけど。。)ムルティプラも商用にタクシーに、もちろん乗用にも大活躍。生まれ故郷で見ると違和感ゼロ。
 これまたキレイなチンクェ。撮ってくれと言わんばかりの後ろ姿。
 こちらは新型。まあ、比べても仕方ないけど、古いモノの良さは独特です。30年経ったらこれも味が出てくる?
 ミノーリで見かけたバン。車種は詳しく見なかったけど、後ろの黄色い建物に溶け込むようなプロポーションが絶妙。
 言わずと知れた156。ローマで見るとなぜかやたらとグラマラス。
 ローマのチンクェ。背景といい、色の発色といい、なんかもうデキすぎ。こちらも実用バリバリ。

チンクェに詳しかったらこのバージョンとか垂涎だったりするのかな?という雰囲気ムンムン。









最後の一台はイタリアンなイケイケのお姉さんが豪快に停めていった、これはなんでしょう?ひと目で分かった人はかなりのマニア。

2012年10月8日月曜日

奇岩とおはぎ


 彼岸過ぎというのにあちらこちらで彼岸花が鮮やかだ。以前から気になっていたおはぎを手に入れがてら、早起きして秋保の朝風呂へ。町内のおじさんたちで運営している小さな共同浴場で、四人も入れば一杯の湯船ながら、常連と覚しきおじさんたちが朝の静かな時間を過ごしていた。思っていたより近くて車で35分、これなら他の温泉も気軽に楽しめそうだ。
 車を止めたその先の「磊々峡(らいらいきょう)」という看板に誘われて遊歩道を行くとなんとも豪快な渓谷に出た。「磊」とは石が多く積み重なっている、という意味の文字(猛烈にそのままだ)で、まさに巨石が層となって積み重なっているような表情を見せていた。実際には名取川が大地を侵食してできたそうで、ここからとれる凝灰岩は秋保石と呼ばれ、広く建築材として用いられたそうだ。耐久性や耐火性、防水性に優れ、軽量であることなど、優れた特長を持つことから、特に大正末期から昭和初期にかけて盛んに使われたらしく、当時は搬出用にトロッコも走っていたようだ。を、凝灰岩といえばこないだ行ったマテーラの洞窟住居と同じ岩だ。ここの人は住みかにはしなかったのね。
 水はとても透明で途中の時雨滝は奇岩の迫力とは対照的にとても繊細で美しく静かな佇まいだった。中国人向けの案内か、「瀑布」という文字が似つかわしくなかった。さて、件のおはぎはというと、これを求めに来た人たちの大混雑に驚きながらもなんとかゲットしてついでにずんだ餡も。甘みもあっさり、ボリュームの割には食べやすかった。道中は金木犀の香り、ススキはなびき、稲刈りの終わった田んぼにはイナグイ(稲を干すための棚)が並ぶ。もう秋だ。